職場に1台だけあったコンピュータの話
先日、とある場所で、勤続約30年になるベテラン社員さんと、私より少し上の世代の専門家の先生と、3人で思わぬ盛り上がりを見せた話題があります。
職場で初めて扱ったソフトウェア(今風に言えばアプリでしょうか)と、OA機器の話でした。
かつては、職場にたった一台だけ置かれたコンピュータに5インチのフロッピーディスクを差し込んで起動させていました。
ワープロ専用機からブラウン管のモニターを備えたパソコンへと置き換わっていきました。
若い世代の方には煙たがられるような昔話に、すっかり花が咲きます。
私サガノトモにとって、初めてのパソコンはWindows98でした。
あの頃から数えると、ずいぶん多くのホームページを作る道具を手にしてきたことになります。
道具は、たしかに移り変わりました。
けれど、新しい道具が現れるたびに、一から出直してきたわけではありません。
前の道具で身につけた考え方や便利だと感じた仕組みは、形を変えながら次の道具へと受け継がれていきます。
連綿と続いてきたもの、と言ってもいいかもしれません。
ですから、ここから先は懐かしむための話ではありません。
いま何を選ぶか、その手がかりを探す話です。

私が使ってきた道具の変遷(ホームページ作成)

まず、手で書いていた頃
使っていたのは、メモ帳や秀丸エディタといったテキストエディタと、
FFFTPやNextFTPといったFTPソフトでした。
HTMLのタグをひとつずつ覚えて、1文字ずつ打ち込みます。
書き上げたファイルをサーバーへ送って、ようやくホームページになりました。
タグをひとつ閉じ忘れただけで、画面がまるごと崩れます。
保存して、ブラウザで開いて、直す。
ひたすら繰り返しました。
この頃に身体でたたき込んだHTMLの構造は、今も生きています。
現在使っているWordPressもJimdoも、最後に世の中へ届けているものは同じHTMLだからです。
ソフトウェアを買って作っていた頃
- 使っていたもの:
ホームページ・ビルダー、Dreamweaver、BiND for WebLiFE(現在のBiNDup) - 何が変わったか:
画面で見たままに近い形で組み立てられるようになった - 当時の風景:
箱に入ったCD-ROMを買ってきて、インストールから始める - 当時の悩み:
更新するにはソフトの入ったパソコンが必要。担当者が離れると更新も止まる - 引き継いだもの:
手書き時代のタグの知識。
ソフトが書き出したコードを直すとき、結局そこが頼りになりました。
ソフト側もソース編集画面をきちんと残していました
システム(CMS)で動かすようになった頃
Movable Type、WordPress、そして各種ブログサービス。
ブラウザさえあれば、どこからでも更新できるようになりました。
デザインと中身が切り離され、ようやく書くことそのものに集中できます。
ページの追加も編集も、目を疑うほど早くなりました。
書き手が一人でなくてもよくなったことも、大きな変化です。
引き継がれたものもあります。
見たまま編集するという発想は、ソフトウェアの時代からのものです。
タイトル、キーワード、概要(ディスクリプション)というSEOの三大設定も、そのまま持ち越されました。
しかし、受け継がれたものの中には、途中で役目を終えたものもあります。
キーワードの設定は、いまの検索エンジンがほとんど見ていません。
設定欄だけが、長い間残り続けました。
サービスに任せられるようになった頃
- 使っていたもの:
Jimdo、Wix、ペライチ、STUDIO、Ameba Ownd - 何が変わったか:
サーバーの手配もソフトの購入も要らない。
簡単なホームページなら無料でも作れる - 当時の驚き:
申し込んだその日のうちに、ホームページが公開できてしまう - 引き換えに:
外へ持ち出しにくくなる面もあります - 引き継いだもの:
部品を並べて組む感覚。
ブロックという考え方は、CMSの時代からの地続きです
そして、いまの道具
ホームページの裏側を知らなくても、ノーコードのツールで形になります。
そこへ、AIが加わりました。
では、受け継がれてきたものは、もう要らなくなったのでしょうか。

それでも変わらなかったこと
道具は、5度も6度も入れ替わりました。
それでも私の側で変わらなかったものが2つあります。
自分の手で直せること
初めてHTMLを打ち込んだ日から四半世紀以上、自分の手で直せる状態だけは手放しませんでした。
無意識ではありましたが、新しい道具を選ぶときの基準も「これは自分で直せるか」だったと言えます。
ホームページを作り始めて、モニターに思い通り表示されたときの嬉しさは格別でした。
自らの手で創ることが、ただ単純に楽しかったのです。
仕事としてホームページを扱うようになって、楽しみだと思っていた「自らの手で創ること」が、そのままお客さまにとっての強みでもあると気づきました。
自分で直せるホームページは、思い立った日に直せます。
直せないホームページは、誰かの都合を待つことになります。
誰に、何を伝えたいのか
自分のためだけに作っていた頃は、深く考えずに済んでいました。
仕事で扱うようになってから、問いの比重が年々大きくなっています。
道具は、この問いに答えてくれません。
どれほど立派な道具を用意しても、伝えたいことが決まっていなければ立派な空き家ができあがるだけです。
作れることと、持ち続けられること
AIの登場で、作ることは驚くほどやさしくなりました。
長い年月をかけて覚えてきたことが、数分で手に入る時代です。
しかし、作れることと持ち続けられることは別です。
ホームページは公開した日から古くなっていきます。
お知らせを載せ、価格を直し、写真を入れ替える。
その積み重ねだけが、ホームページを生かしてくれるのです。
受け継がれてきたものは、要らなくなっていません。
これから先、道具が移り変わったとしても、
「自分の手で直せること」
「誰に何を伝えたいのかを持っていること」
この2つさえ握っていれば、次の道具が来てもまた乗り換えていけます。

いま、あなたが選ぶとしたら
道具の話を長々としてきました。
いまホームページを持とうとされている方に、私からお伝えしたいことはひとつだけです。
どの道具を選ぶかより、選んだあと自分で続けていけるかどうか。
道具選びで迷われたら、3つだけ確かめてみてください。
- 直したくなったとき、誰かの都合を待たずに直せますか
- その道具をやめたくなったとき、中身を持ち出せますか
- 伝えたい相手は、決まっていますか
もし、いまお持ちのホームページの更新が止まっているとしても、遅すぎることはありません。
止まった理由は、やる気ではなく、道具が手に馴染んでいないこともあるからです。
私がしているのは、代わりに作って納品することではありません。
作ったあとをご自身で続けられる状態にして、お渡しすることです。
四半世紀、自分の手で直してきた実感です。
パソコンを教える人が作る、自分で更新できるホームページ。
▶ デジタルが苦手な福岡の事業者向け 伴走型ホームページ制作
あなたの、最初のパソコンやホームページ作りの思い出は何でしょうか。
それ以外にも、デジタルにまつわる思い出は、きっとあるはずです。
いつか、あなたも誰かに昔話をする日が来ます。
5インチのフロッピーやワープロ専用機の話に、若い方が目を丸くしたように。
そのときの昔話にご自身の手で育ててきたホームページの話が入っていたら、私はとても嬉しく思います。
最後まで読んでくださいまして誠にありがとうございます。
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